抱き合うウエディングドレスを着た女性とタキシードを着た男性

そもそも私には結婚願望がありませんでした。

幼少期から毒親である母に「あんたみたいなのは結婚できないんだから」と言われ続けていたせいです。
その言葉に根拠なんてありません。母の虚言に過ぎないので。
保育園に通う子供が将来結婚出来ないなんて決めつけること事態、親としても人としてもおかしなことです。

でも恋愛願望は常にありました。ただ相当歪んではいましたが・・・。
これが愛着障害のせいだと知るのも様々な悲惨恋愛経験で傷付いた後になってからです。
―付き合える可能性をちらつかせられると必死になって相手の言うことを何でも聞いてしまっていました。
でもそんなものは愛情ではないのだと気付くまで相当な時間を要しました。

夕焼けの中、翼が粉々になって膝を抱える悲しそうな天使
初恋は5歳の時。相手は保育園の同じ組のノブヨシ君という子でした。
好きになったきっかけも、どこに惹かれたのかもいまだにわかりません。

性格はおとなしい方でマイペース、目が細くてちょっとぼーっとしているタイプでした。
ちなみにバレンタインにはチョコを2回あげましたが、ホワイトデーにお返しはもらえませんでした。
そもそもこの年齢の子には「ホワイトデーのお返し」という概念すらなかったのかもしれませんが。
割れたハートのパン
小学校に入るとなぜか自分はモテるという思い込みを漠然とするようになりました。
理由やきっかけはまったくわかりません。
ただクラスの男子の些細な言動から「この人は私のことを好きかもしれない」と錯覚してしまうのです。

それを繰り返しているうちに私の方が相手に好意を抱くようになっていました。
「好きになる」という経緯としては歪んだ形でしょう。
なぜなら相手を好きになるための「要素」が何もないのです。

性格でも顔でもなく、優しくしてもらった訳でもない人のどこに惹かれて恋愛感情に結びつけたのか。
個人の魅力に惹かれるのではなく、状況や可能性で恋愛感情を抱くという感じだったのだと思います。
雪の中の枯れた木の枝で編んだハートのモチーフ
ところがその傾向は中学生になって一気に変わりました。
入学してすぐ、同じクラスの男子に一目惚れをしたのです。

その男子は相当なイケメンで同学年の女子だけでなく上級生の女子にまでモテていました。
身長も高く、成績優秀、スポーツ万能、野球部に属していて人気者でした。

・・・けれどその男子は自分が気に入らない人にはものすごくキツくあたるタイプで、いじめをするような性格だったのです。

ちなみにその対象のひとりが私だったのです。
私の側で友達と話すフリをしながら私に嫌味を言うのです。
ものすごくショックでしたがそれでも嫌いにはなれず、なんと中学を卒業するまでずっと片思いをしていました。

しかも心のどこかでは「いつか付き合えるかもしれない」という淡い期待すら抱いていたのです。
本来なら自分を傷付ける人に対して抱く感情ではありません。
けれど当時の私は自分の愚かな恋愛感情になどまったく気付いてはいませんでした。
数本の釘が刺さった木のハートとかなづち
その後は高校、専門学校へと進みますがその間には特定の好きな人というのはいませんでした。

・・・ただし3次元では、の話しです。
そう、この頃はアニメや漫画にハマっていたこともあって恋愛対象が2次元のキャラクターになってしまっていたのです。

それを友人に話すと「それじゃダメだよ!いい人紹介してあげるから!」と言われ、彼女の友人のひとりである同い年の相当なイケメン君を紹介してくれたのです。

ところがここでまた歪んだ恋愛の悪癖が発動しました。
「この人は当然私のことを好きになるに決まっている。」と。
ハートの形のドレスを着た女性がハートをつかみ取ろうとしている
―感情は無意識のままに態度に現れてしまうもの。
おそらくこの時の私は「意味不明な自信に満ちあふれる勘違いモテ女」的な、やたら気取っていい気になっている態度だったのだと思います。

相手も不快に感じたのでしょう。その人とは会話も盛り上がらず、連絡先を交換することもなく二度と会うことはありませんでした。
ひび割れた地面
しかしこの件と、後日「彼氏が出来た」という友人の報告によって、生来の負けず嫌いに火がついて急に彼氏が欲しくなったのです。
「あの子に彼氏が出来るなら、この私がモテないわけがない!」

そう躍起になったものの、人との関わりを極力避けてきた私には人脈がまったくなかったので出会い系サイトに登録をしたのです。

今でこそマッチングアプリで婚活するのは一般的ですが、当時の出会い系サイトは良からぬ目的を持った男性だらけの巣窟でした。

それでも20歳になるまでには何としても彼氏が欲しいという焦りから「とにかく顔が良ければいい」という感じで相手の素性や性格など気にもせず、やみくもに出会いを求めていました。
いくつもの扉の前を走る黒い人影
ところがそんな中でも奇跡的にちゃんとしたお付き合いを望んでいた3歳上の男性と出会ったのです。

見た目も悪くなく、性格も問題なかったので付き合うことになったのですが・・・告白などはありませんでした。
何となく自然にそういう関係になった、という感じでしたが正直心のどこかでは告白をして欲しかったという気持ちがありました。

それでもお付き合いは順調に進み、1年後には同棲することになったのです。
それからすぐ結婚という話にもなり、お相手の実家に行ってご両親にも挨拶を済ませたのです。
手を繋ぐ男女
・・・ところが22歳の私には結婚という意識はまったくありませんでした。
それはまだ遊びたいからとかそういうことではありません。冒頭に書いた理由のせいです。

そしてその後、私が婚約破棄をするきっかけとなる出来事が起きました。

ある日の朝。
彼から改まってこう言われました。
「・・・実は俺、家が欲しいんだよね。で、銀行から金を借りたいんだけど俺の収入だけじゃ借りられないんだよ。だから月狼の収入も合わせたいわけ。でもその収入を合わせるのは他人同士だと出来ないんだよ。・・・・意味、わかるよね?」

意味はわかりました。
でもいろんな部分が許せませんでした。
手を繋ぐ男女のイラストで男性だけが消されている
まず家が欲しいから結婚するのかと。それなら別に相手は私でなくてもいいじゃないか。金持ちのおばちゃんとでも結婚すればいいじゃないかと。

そして何よりはっきりとプロポーズの言葉「結婚してください」が言えず、遠回しの表現で済ませようとしていた意気地なしである事があまりに情けなかったのです。

それらを告げると彼は二度と結婚の話題を出さなくなりました。
婚姻届と一輪のバラを切るはさみ
それからしばらくして事件が起きました。

それは日頃からお互いが気を使い過ぎて「自分の本音や本心」を伝えられずに我慢をして過ごしていたために、結果的に溜まりにに溜まったお互いの不満やストレスが大爆発したのです。

「何も言わないでおく。本心は隠しておく。」というのは必ずしも相手への配慮でも優しさでもありません。
それは自分だけでなく相手を傷付けることにもなるからです。
嫌なことは伝えなければ相手にはわかりません。

―ちなみにこの出来事は今の私を救う教訓になりました。

そしてこの事件後、同棲は解消。
そして3ヶ月後に彼との関係も解消となりました。
割れたハートを持って泣くダンボー
その後、彼氏のいなくなった私はすぐさま出会い系サイトに再登録。

寂しさを何とかしたくて暴走気味に出会いを繰り返していました。
その相手はいわゆる不適切な男性ばかり。

でも私としては「お付き合いしている、もしくはこれから付き合える。」と信じている状態でした。
音信不通にされても深夜に呼び出されて都合よく利用されるだけであっても、どんな形であれ「彼氏がいる」という状態ならそれで満足だったのです。
手を繋ぐ男女
そんな中で人生最悪な恋愛経験をしてしまう人と出会いました。

その人はやはり出会い系サイトにて知り合った人。
ただ今まで出会った誰よりもイケメンだったのです。
初対面で一目惚れした私は生まれて初めて自分から告白しました。

すると彼から「性欲がどれほどあるのか」だけを尋ねられたのです。
赤い口紅のマネキン
普通ならここで相手を殴って終了させるべきです。どう考えても体目的ですから。

けれど当時の私は付き合えるならなんでも言うことを聞いてしまうタイプだったので受け入れてしまったのです。

そして最初から歪んだお付き合いがスタートしてしまいました。
―そもそも付き合っていたという認識は私だけであって、相手にとっては「都合いい女」にしか過ぎませんでしたが。
洋服売り場の数体のマネキン
彼とはデートをした記憶はほぼありません。基本的に彼の部屋に1泊するだけ。
会うのも1ヶ月に1回程度。
それもだんだん感覚が長くなり2、3ヶ月に1度程度になりました。

さすがに寂しくてたまらず連絡もしないで勝手に部屋に押しかけたり、もしくは彼のアパートの前で他の女が来ないか、浮気していないかと見張っていたこともありました。

完全にストーカー行為だったと思いますが、当時の私にはこれが充実していて幸せな時間だったのです。
不幸であればあるほど、自分の人生や境遇の理不尽さに浸っているのが私らしくて恍惚と出来たのです。

―完全におかしな精神状態でした。

そしてそんな状態の私だからこそあんな最悪な事態を引き寄せたのでしょう。
赤い床の隅で膝を抱えて塞ぎ込む女性
その日、彼の部屋に泊まる事になっていたのですが、お酒好きの彼は相当飲んでいる状態でした。

すると突然私の頭を掴んで壁に激しく何度も打ち付け始めたのです。
「痛い!痛い!!」と言うと「は?痛い?じゃあ救急車呼ぶ?」と笑いながら電話を掛けようとしたので慌てて「そこまでじゃないから!それはしなくていいから!」と制止。

すると「じゃあ平気じゃん。」と再び壁に頭を何度も何度も何度も激しく打ち付けたのです。
男性の握りこぶしとうつむく女性の後ろ姿
そしてそれをやめると今度は彼が吸っていたたばこを私の腕に押しつけようとしてきたのです。
さすがに怖くなって「やめて!!!」と半泣きで大声で叫ぶと「なんだよ、つまんねぇな」とふてくされてそっぽを向いたのです。

それに対して私は彼の機嫌を損ねてしまったと思って「ごめん、ごめんね。」と、なんとか機嫌をなおしてもらおうと必死に謝罪していました・・・。

―完全なDV被害でした。

壁に打ち付けられた頭は夜中ずっとズキズキと痛んでいました。
しかしそれでも彼に対して怒りも憎しみも恐怖も感じず、別れようだなんて微塵も思いませんでした。
夕暮れの暗い部屋で憂える女性
それから半年ほど音信不通にされました。
それでも私は付き合っていると信じて疑いませんでした。

半年ぶりに呼び出されて会いに行ったら彼の部屋には女性もののお泊まりグッズが・・・。
それを見つけた瞬間、私はキレて彼には何も言わず勝手にその一式をゴミ捨て場に投げ入れたのです。

その後「女友達が泊まりに来ただけなのに何してくれてんだ!」と怒られましたが
「彼女の私がいるのに女を泊まらせるなんておかしい!」というとまた音信不通にされ、しばらくして彼からこんな連絡がきました。

「もう終わりにしよう。お前のためにもならないから。」
私のことだから別れたくなくて必死になってすがりつくかと思いましたが、意外にもそれをすんなり受け入れたのです。

こうしてDV男との縁は切れました。
―下手をしたらこの時、DV被害により死んでいたかもしれません。
枯れた二輪の花
この後もやはり懲りずにまた出会い系サイトに登録して次なる出会いを求め始めました。
もう出会い系サイト依存症だったのだと思います。

そしてモラハラや体目的の男性との出会いを繰り返していましたが、その人たちにすら「いつか付き合えるかも」という期待を持っていたからこそ受け入れていたのです。

しかしそんな精神状態ではいい人と出会える訳がありません。

そんな中、またお付き合いに至る人との出会いがありました。
それは出会い系サイトではなく、当時利用していたSNSで知り合った神奈川に住んでいる人でした。
Tシャツを着た男性のマネキン
とにかく付き合いたい、会いたいと必死だった私は自分から神奈川へ彼に会いに赴いたのです。
そこで初対面となりデートをしたのですが、やはりこの人も「最初から」体の関係を求める人でした。
しかし私も付き合えるものと信じていたからそれを当然受け入れてしまいました。

けれど目的を果たすと彼は
「じゃあ夕飯はひとりで大丈夫だよね。そこに松屋もあるし。」
とさっさと帰ってしまったのです。

さすがにこれには「わざわざ青森から来たのに・・・付き合うことにもなったのに(告白などはなかったが)・・・ここで置いてけぼり?」と不満を覚えましたが。

それでも文句は言わず翌日彼にお礼の連絡をして神奈川を後にしました。
そこから遠距離恋愛がスタートしたのです。
霧の中の駅のホームと線路

・・・が、それは突然終わりを迎えることとなりました。

ある日SNSに彼の元カノと名乗る女性からメッセージが届きました。

その内容は彼が実は既婚者だというのです。
騙された女性は数多くいて、その被害女性たちを集めて裁判を起こしたいとの内容でした。
「既婚者」というフレーズに私は頭が真っ白になってすぐさま彼に怒りのメールを送りました。

するとしばらくして彼から返信がありました。

―その子と付き合っていたのは事実だけれど既婚者だというのは嘘だというのです。

元カノはあまりにも束縛が酷いメンヘラ気質で、限界を感じて別れたもののいまだに付きまとってストーカー行為をしているそうなのです。
なのでその子が接触してきても構わないで欲しいとのことでしたが、私が怒りのメッセージを送ったことで自分にはもうあなたと付き合う資格はないので身を引きます、という内容でした。

あまりに一方的な終わり方で私は怒りを忘れて電話やメールを何回も送ったものの、結局音信不通にされてしまったのです。
テーブルに置かれたスマホ
実はこの頃、私は彼と一緒になりたくて上京を考えてアパートの内見までしに行っていたのです。
それも無駄になった・・・と思っていた数ヶ月後のことでした。

9年間務めていた工場が突然閉鎖になり、転職のため私はこれを機に上京することにしたのです。
線路を歩く女性の後ろ姿
29歳の5月、私は地元青森から東京へと移住しました。

それから半年後、なんと音信不通になっていたあの彼から連絡が来たのです。
どうやらSNSで私が上京したことを知ったそうで「会いたい」と言ってきました。

・・・しかし例の揉め事に関しては「全部なかったことにしてあげるので」という、まるで私が加害者であるかのような言い回しが引っかかりましたが。

それでも音信不通にされて満たされなかった感情を、この時になってようやく救われた気持ちになったので喜んで会いに行ったのです。
草原で風船を持つ女の子
そしてなんとヨリを戻すことになったのですが・・・

彼は常に「仕事が忙しい」とのことで1か月に1度しか会ってくれず、しかも仕事で近場に来たときだけ私の部屋に来て1,2時間の滞在で「目的」だけを果たすとさっさと帰っていくのです。

極めつけが熱を出して寝込んでいた時のこと。
飲み物を買ってきてくれたので看病してくれるのかと思いきや・・・目的は「体」のみ。

私も嫌われるのが嫌だからと断らず受け入れたのですが、さすがに心の中では抵抗感が芽生えました。
そして行為が終わるとさっさと帰るというこの行動にさすがに気持ちが冷めて、私の方から音信不通にしたのです。

それから数年経つとまた彼からメールが届いたことが何度かありましたが、もう2度と相手にはしませんでした。

―ただ、彼が既婚者であったかどうかはわからないままでしたが。
舞踏会用の仮面
それから数年間、誰とも付き合うことはありませんでした。
でも恋愛感情は相変わらずで出会いのきっかけをいつも伺っている状態でした。

基本的にひとりで行動出来るので友達も彼氏もいなくても「寂しい」と思うタイプではないのですが、女性としてのステータスが「彼氏がいること」という思い込みがあったために、それを達成したくて必死だったのです。

そして「私はモテる」という自意識過剰も相変わらずでした。
帽子を深くかぶって目を隠した色っぽい女性
当時の勤務先は男性が8割という工場。これは引く手あまたになると信じて疑いませんでした。
実際「可愛い」と容姿を褒められることは多少なりともありました。
なのでそこで更に誤った自信に拍車が掛かりました。

・・・ところが。
その職場で私と比較されて「月狼さんと比べておまえはなぁ。」と揶揄されていた女性たちが次々と結婚していったのです。
さらに「既婚者のあの人に食事に誘われちゃって困ってる・・・」という女性がいることも聞きました。

ー実は私は職場では一度も連絡先を聞かれたことも食事などのお誘いを受けたこともなかったのです。
横向きでうつむく女性
何より普段から職場の男性陣はあまり私に話しかけて来ることはありませんでした。
それよりも中年のパートのおばさんたちと和気あいあいとお話ししているのです。

「私の方が可愛いって言われているのになんで・・・!?」

本気で意味がわからずかなり悩みました。
モテる要素は容姿じゃないの?と気付き始めたのです。
木々が透けている女性のシルエット
この時期に私は興味本位で街コンに参加するようになりました。

自分のモテる度合いを確認するのと同時に「これだけ出会いを求める人がいても相手にされない安心感」を得るために。
なぜそんなことを?と思ったのではないでしょうか。

···実は学生時代、イジメにあっていたトラウマにより人と関わると攻撃をされると悟ったために「人から相手にされない=安心安全の状態」ということを自分の心に覚えさせたのです。

やがて私は集団の中にいても誰からも相手にされないことで得られる安心感を確認して幸せに浸りたくて、このような矛盾した状況を求めてしまっていたのです。

なので街コンでは話し掛けられることは何度かあったものの、誰とも付き合うことも連絡などのやりとりすらありませんでした。
富士山を眺める女性の後ろ姿
それからしばらくして職場の同じ部署の5歳年下の男性と付き合うことになったのです。
彼は27歳で恋愛経験なしの人でした。

そもそも彼は当初まったく恋愛対象ではありませんでした。
頼りないいじられキャラで仕事もできない。見た目もまったくさえないオタクタイプの人でした。

でも話していて楽しかったこと、そして何より私が仕事で必要な資格取得の勉強をしていた時に親身になって一生懸命教えてくれたりと、意外と頼りがいがあるという所に惹かれたのです。

そして明らかに今までの不適切な男性に比べたら「普通」で「素敵」に思えたのです。
でも彼ともまた流れで付き合う事になったために「告白」はありませんでした。

その彼とは2年間交際しましたが、付き合っていくうちにやはり頼りなさが露出して、そのために将来性を見出せずに私のほうから別れを切り出しました。
BYEと書かれた手袋で顔を覆う女性
その後、私は転職をしたのですが新たな職場は更に男性の多い工場でした。

何よりその職場ではついに「モテる」という体験をすることになったのです。
食事に誘われる、連絡先を聞かれる、やたら話しかけて来る人がいる・・・など。
ここで私の女性としてのステータスは確立され、満足感を得たのでした。

けれどそういう関わりをしてくる男性は私のタイプではない人ばかりでした。
ちなみにいいなと思うタイプの男性はみんな既婚者。
私はいつしか好みの男性に出会ったら左手薬指を確認するようになっていました。
薬指に指輪をした男性の左手
そして勤務して1年ほど経った頃。

とある部署が多忙とのことで私が毎日1,2時間ほどお手伝いをしに行くことになりました。
そこで指導してくれることになった主任が・・・驚くほどタイプの超イケメンだったのです。

完全に一目惚れで釘付けになりました。
そして左手薬指には何もないことも確認しました。

ー彼と仲良くなるのにまったく時間は掛かりませんでした。
なぜなら彼の方からがんがん話しかけてきてくれるし、他の誰よりも私のことを気遣って優先してくれたからです。

今までの異性との関わりでしてきた都合のいい解釈や思い込みや妄想とは明らかに違う「確信」の感情を感じました。
私の話もちゃんと聞いてくれるし「会話」として成立している。今までの一方的なおしゃべりではない楽しいやりとりがありました。

しかも今まではこんなイケメンに出会ったとしてもまったく相手にされず、他の可愛いコや魅力的なコと楽しそうにおしゃべりしている様を見せつけられるだけだったというのに。
それが念願叶ってついに理想通りのイケメンと付き合える・・・!私の期待は相当膨らみました。
夕焼け空を背景にのびのびとしている女性のシルエット
そして運命のその時がやってきました。

いつも通りその主任とお話ししていた時のこと。
お互い住んでいる所について話していたのですが、彼が引っ越しをして車で1時間もかかる所から通勤していると知りました。
なぜそんな所に引っ越しちゃったんですか?と聞くと彼は急に黙り込んだあと、重い口調でこう言ったのです。

 

「・・・・・・・・奥さんの実家が、そっちの方にあって・・」

―あぁ。やっぱりそうか。

もしかしたらと思うことは何度もありました。
こんなイケメンで優しい37歳が独身だなんてまずないと。

でも疑ったら現実に反映されて良くない結果を招くからと欺瞞していました。
けれどやはり現実はこれだったのです。
私は一瞬で言葉を失いました。
暗い背景でうつむく女性
けれどこの日以降も主任とは普通に接していました。
気持ちの整理をつけるのは大変でしたが、既婚者に恋愛感情を持つことは絶対にありません。
割り切って「いい人」として楽しく会話をするだけでした。

ただ、この時に私は初めて「結婚するならこういう人がいい」という結婚願望が芽生えたのです。

そしてこの後すぐに主任は転職してしまい、そしてその半年後には職場自体が閉鎖になるということで私はまた転職を余儀なくされました。
広い工場の建物の中
次の転職先もまた工場。
そこは20人程の小規模な所で女性は60代の事務の女性のみでした。

しかも社長が「女性を雇うと何かと面倒だから」とずっと拒否していたそうなのに、私は面接で社長に気に入られてその場で採用されてしまったのです。

ただ現場作業での女性は初とのことで、入社するなりそれはもう男性が入れ替わり立ち替わりでやってきて、興味津々という感じでした。

こういうのを望んでいたはず・・だったけれど、私は話しかけられない限りは自分からは会話をしにいかないタイプなので、しばらくすると男性陣はほとんど話しかけて来なくなりました。

そして若くて見た目もいいはずの私より、60代の事務のおばさんの方にばかり話しかけては楽しそうにしているのです。
「なんであっちなの・・・?なんで私じゃないの?」
私の疑問は妬みを含んでイライラを募らせていくばかりでした。
不機嫌そうにほおづえをついて睨む少女
肝心の仕事ですが私は未経験者として入社したために仕事を教わる必要がありました。
金属部品の加工ということで職人として難易度の高い技術を身に付けなければならないのです。

そこで私の指導役として26歳の男性が付くことになりました。

だいぶ強面のスポーツマンタイプな人で、普段は口数は少ないもののここぞという時は何事もはっきりと物言い出来る人でした。
頭も良く仕事も出来て社長や周囲からも信頼されている人でした。

最初は彼のことをなんとも思っていなかったのですが、仕事を教えてくれる時や私と接している時は、いつもクールな彼のテンションがやたら高いことに気付きました。

「あれ?これ私のこと好きなんじゃない?」
・・・お約束の自意識展開です。
こうして私は彼に対して好意を持ち始めたのです。
ジーパンのポケットから少しだけ出ている赤いハートのモチーフ
この頃の私は結婚を意識し始めたせいか、やたらアプローチに積極的になっていました。
いつもは避けていた職場の飲み会に参加して彼の隣に座って自分から話しかけたりと、とにかく親密になることを目標としていました。

そしてついになんと私の方からLINEの交換を求めたのです。
彼はそれにすんなり応じてくれたものの・・・結局やりとりは数回で終わってしまいました。

最後のやりとりでは血液型を聞いたのですが、それが良くなかったのでは?という人もいました。
私としては「当たり障りのない質問を」という考えでのことだったのですが。

けれど人によってはデリケートな問題になるという意見もあったり、そもそもこんな質問をされたらやりとりの目的がわからない、先が見えなかったからではという意見もありました。

···人によっては理由のないやりとりを無駄と感じる事もあるそうで、特に効率重視とする男性はその傾向が強いそうです。

真相は謎でしたが、とりあえずその後は何を送っても未読か既読スルーという状態にされてしまいました。
スマホ画面
しかも彼の態度も日に日に冷たくなり、やたら私を避けるようになって完全に嫌われてしまったようでした。
なのに事務のおばさんとはとても仲良しで、あんなにも口数が少ない彼がことあるごとに自分から話しかけて楽しそうに笑っているのです。

・・・もう意味不明の状態でした。
しかもその光景を見せつけられているように感じた私はますますイライラし、事務のおばさんを逆恨みするほどになっていました。
暗闇で睨む黒猫
そして私はこの現象の原因と理由を知りたくて必死になってネットや書籍で調べまくりました。

その結果、とあるブログで「好き避け」という心理状態を見つけたのです。
その条件が今回の彼に数多く当てはまっていたことで「これに間違いない!」と確信を得ました。
そして何とか解決するためにと有料記事を購入して1000ページ以上の解説を必死に読み上げました。

その時に好き避けには恋愛問題だけでなく、心理的な問題や発達障害によるものや環境によるものという複雑な要因が様々絡んでいることを知りました。

更に好き避けは相手だけでなく私自身にも問題があって引き起こしている可能性もあると知り、私はここでやっと自分の心の問題と本格的に向き合う決意をしたのです。
すべては彼をもう一度振り向かせるためでした。
祈りを捧げる天使の像
―しかし結局、彼との関係はギスギスしたまま。
そして私はそんな状態で職場にいること自体がつらくなったので転職を決意したのです。
 
心機一転することになった次の職場も工場なのでやはり男性が多いのはわかりきった事でした。
入社直後の男性陣にモテモテとなる「初期限定の注目の的」もしばらく経てばやはり落ち着きました。
しかしこの職場にはずいぶんと根強い私のファンが出来てしまい、セクハラ被害を受けてしまったのです。

実を言うと、過去どの職場でもセクハラは受けていました。
おとなしいから言い返せないのと「やめて」と拒否出来ないからこそ格好の的になってしまうのです。
しかも昔はこんな状態を「モテている」「女性として魅力がある」と勘違いをしていたのです。
棒の付いた仮面を持って目を閉じる女性
ちなみに転職先にもまた気になる人はいました。
それは前職で叶わぬ片思いで終わった人に良く似た外見の人でした。

最初向こうから話しかけられたのですが・・・人避け人嫌いがまだ続いていた私は会話を終わらせる流れにしてしまったために、それ以降話しかけてもらえなくなりました。

―このように今までも実はチャンスはいくらでもあったのです。
誠実で素敵な人との出会いもあったのです。
けれどそういう人にも避けるような態度をとってしまうから、まともな人ほど「なんか感じ悪いな・・・」と思われて避けられてしまうのです。

そして不適切だったり良からぬ目的を持った男性は目的さえ果たせればいいのだから、そんなことはまったく気にせず私に近寄ってきます。
そこで歪んだ縁が出来てしまうのです。

ただその事実に気付くのはまだ少し先の話になりますが・・・。
積み上げられた本に座る人の足
結局またうまくいかなかったことで途方に暮れていた頃、TVでマッチングアプリ特集を放送していたのを何気なく目にしたのです。

マッチングアプリの存在はもちろん知っていたものの、やはり出会い系サイトの悪いイメージがあったので興味は持たずにいました。
しかしここに来て興味本位で登録してみようと軽い気持ちで始めてしまったのです。
カフェのテーブルでスマホを触る手
しかしそれはまさに泥沼でした。

婚活を目的としているとこちらがアピールしていても、男性はやはり不適切な目的の人が多く、見た目だけで選んでしまう私はそういう人ばかりとマッチングしてしまうのです。

ヤリモク、モラハラ気質、怪しげなビジネスサイトへの勧誘などまともな人と知り合うことすら出来ずにいたのです。
それでもさすがに昔のようにやみくもに会ったりはせず、しっかりやりとりをして大丈夫そうだなと思う人とだけ会うようにしていました。
公園でたたずむ4人の紳士
しかしそれでも見抜けず、中には騙し慣れている人もいたせいで危うく罠に掛かりそうになることもありました。
そしてちゃんとした婚活目的の人と出会えても、なかなかいいなと思う人に巡り会えなかったのです。

そんな中で出会ったのがバツイチで同い年の長身のイケメン営業マンという奇跡の人でした。

しかも会った瞬間から彼も「こんな素敵な人に会えて嬉しい!」と大喜びしてくれたのです。
これはもうお付き合いも結婚も確定だ!と自信満々に思っていたのですが・・・。
口と鼻を覆って嬉しそうな女性
3回目のデートをしている時から彼の様子が明らかにおかしくなりました。
「俺、自己肯定感めちゃくちゃ低くて・・・」と語り出したのです。

ちょうどその時、私は好き避けの勉強が発端で始めた心理学で、自己肯定感を回復させることが出来つつあったのです。
なのにうまくその方法を伝えることが出来ないままその日は終わってしまったので「次のデートで教えてあげよう」と意気込んでいたのですが・・・

彼から次のデートをキャンセルされ、以降音信不通にされました。
理由も原因も謎でした。
夕日を背景に呆然と空を見上げる女性

―またこの展開。なんなの?自己肯定感も回復させたのに何でこうなるの?

そして悩みに悩んで思い当たった事がありました。
実は私にはこんな思考があったのです。

「あんな素敵な人ならモテモテなのになんでこんなアプリなんかやっているのだろう。もしかして既婚者?それか他にも知り合ってる女性がたくさんいるんじゃ・・・。もっと若くて可愛いコに乗り換えられるかもしれない・・・・」
という不安を常に抱いていたのです。

それが無意識のうちに疑心暗鬼の行動や表情となって相手が不快になるような雰囲気を放ってしまっていたのかもしれません。
デート後半で彼のテンションが明らかに低くなっていたのはその可能性もあります。
だとすれば完全に私の心の問題のせいです。
黒い無数のハートの切り抜きの中にひとつだけ赤く光るハート
ここで私は更なる心理面の追求をし始めました。
スピリチュアルにもハマりましたがそれは甘い罠。余計な時間を費やしてしまいました。

そんな中で、婚活してもなかなか結婚できない女性向けの心理カウンセリングサロンを発見し、オンライン講座を受けるようになりました。
これが大きな転機となり、恋愛や結婚のみならず私が長年抱えてきた様々なトラウマや愛着障害、苦しい心理面の因果を紐解く事となったのです。
そして恋愛、結婚観も大きく変わりました。

これなら大丈夫。そうして改めてマッチングアプリを再開したのです。
朝日を浴びて金色に輝く草花
・・・が、やはりマッチングするのは不適切で意味不明な男性ばかり。
やはり見た目を重視してしまうせい?と思いながらも私はその原因を自力で追求することにしました。
そして辿り着いた答えは

「人間関係を築くことへの極端な拒否」
であると気付いたのです。

友達や彼氏は欲しいといつも思ってはいました。
けれど「それ以外」の人との繋がりは厄介だし面倒だからと避けることばかりしていました。
それが心の中にある限り、無意識的に言動となって現れ、人との繋がりを断ち切ってしまったり、いいご縁が出来ない原因であると悟ったのです。

なので私はとにかく恋愛テクニック云々ではなく、メイクやファッションでモテるのでもなく、人との繋がりを積極的に作っていこうと決めたのです。
沢山の老若男女が行き交う道
しかし1年半続けたマッチングアプリでの婚活もさすがに疲れが生じていたので、私は婚活をしばらく休止しようと考え始めていました。

そんな時、職場にひとりの女性が転職してきました。
「人との繋がりを積極的に」という意識を持った私だったので思い切って自分から話しかけてみようと試みたのです。
するとその女性とはすぐに打ち解けて仲良くなり、私が婚活していると告げると
「いい人いるから紹介してあげようか?」と言ってくれたのです。

最初は「こんなの社交辞令でいくらでも言う人いるよね・・・」と思っていたのですが、なんとそれから2週間後に紹介するための食事会を開いてくれるという流れになったのです。

ちなみに紹介してくれるというお相手は、その女性の彼氏の勤務先の人で、私の1歳下だということでした。
その人も男性ばかりの職場で出会いがなくていい人がいたら紹介して欲しいと周囲に言っていたそうです。

・・・ただ相手の写真がなく、顔がわからないまま当日会うこととなったのが唯一の不安でしたが。
工場勤務で10年ほど彼女がいない40歳・・・見た目は期待しない方がいいと自分に言い聞かせてだいぶハードルを下げました。
タキシードを着た木製の二体のマネキン
そしてついに当日。
やってきたそのお相手は・・・

違う意味で想像を裏切った、めちゃくちゃ私好みの容姿の男性だったのです。
橋の上でガッツポーズをしてジャンプする女性の後ろ姿
「工場勤務で40歳でまだこんなイケメンが独身で残ってるなんてどんな奇跡!?」
と私のテンションは一気に爆上がりでした。
話していても優しそうだし問題がある人には見えませんでした。
何よりサイト経由でない「紹介」というのが安心出来る要素でした。

その日は彼の車で自宅近所まで送ってもらい、車内で早々に次の日にデートをするという約束もしました。
何より感動したのが、初対面だからあえて自宅アパートまでは行かないこと、そして夜遅いから歩いて帰るのにも危険がない距離まで送る、という事をしっかり考慮してくれていたのです。

ー今まで出会った不適切な男性はすぐに「部屋に行きたい」という発言ばかりだったので私としては本当に新鮮で安心出来る感覚でした。
富士山を背景にしたスカイラインV37
そして彼とは2週間に1回の週末のデートを重ね、後に迎えたバレンタインにチョコをあげて私から告白をする流れになったのです。

それから1ヶ月後のホワイトデーに彼から桜のモチーフのネックレスをお返しにもらい「付き合おうか」と言ってもらえたのです
41歳にして人生で初めて告白をされた瞬間でした。
そしてお付き合いした人から初めてホワイトデーのお返しも貰えたのです。

そこからお付き合いをして1年2ヶ月後、42歳になった私はついに理想の男性と結婚することが出来たのです。
ブーケを持った花嫁の手元
現在の私は過去の不幸な恋愛を招いてしまった体験から行動や振る舞いや思考を変えました。

「自分が嫌だと思っている事、改善して欲しい事はしっかり言葉にして伝える。それも怒りや当て付けのような感情は乗せず、冷静に相手と理解し合う事を前提とした意識を持つ」

これをした事で夫とはケンカになることはまったくありません。
夫もちゃんと聞いてくれますし「もし何か嫌なことや気になる事があったらちゃんと言ってね」と言ってくれるので私も発言しやすいです。
だからと言ってワガママやひとりよがりにならないようにしています。

やはり意識の持ち方や考え方は人それぞれなので最初はなかなか理解出来なかったり価値観の相違があるのは当然です。
ただそれを擦り合わせていくことがパートナーとしていい関係を築くきっかけになるのです。
花の形をしたライトとイルミネーション
なので私は結婚してからも夫の事を尊敬しているし、結婚後により一層、夫に優しさや頼り甲斐を見い出しました。
この人と結婚して本当に良かったと心から思っています。

・・・ちなみにあるデータでは42歳の女性が結婚出来る確率はわずか3%だそうです。
なのにあれだけモテずに、もしくは歪んだ状態のモテ方しかしてこれなかった私がこんな低確率での結婚を勝ち取ることが出来るなんて本当に驚きでした。

ただ大事なのは「自分の心と向き合うこと」がどれだけ大事かということを本当に学びました。

恋愛がうまくいかない人、婚活で悩んでいる人はモテるためのテクニックやマッチングの極意などに惑わされないでください。

本当に大事なこと、足りないもの、変えなければならないものは人それぞれ。でもそれに気付けさえすれば誰でも「奇跡」は起こせるのです。
豪華な装飾の結婚式場

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