認知症者を相手にしていて一番問題となり厄介なのが「相手にすること」です。
私も相当、姑の意味不明な発言に振り回されました。
言われたことをそのままの意味で受け取ってしまうととてつもないダメージとなります。
真に受けてはいけないのです。相手は健常者ではないのですから。
ただ、そこで思考を切り替えてとか言われてもそう簡単には出来ないのではないでしょうか。
出来ているならとっくにやっていてこんなに悩みを抱える状態にはならないでしょうから。
・・・おそらくこの記事を読んでくださっているあなたは優しく素直な人なのでしょう。
だからこそ余計に傷付いているのです。
そんな人を傷付いたまま放ってはおけません。
なのでここでまた対策をひとつお伝えしたいと思います。
これはかなり有効ですので是非最後まで読んでみてください
まずは私がその対策を見つけた経緯からお話しさせてください。
―ある日の事。いつものように夕飯を作っていた時です。
台所の隣のリビングにはいつものように姑が座っていたのですが、おもむろにこう言いました。
「わたし、今日おなかの調子悪いからごはんいらないよ。」
・・・しかしそう言っても今までの経験上お味噌汁だけは欲しがるのでこう聞きました。
「お味噌汁はいりますか?」
するとお味噌汁はいる、との事でした。
しかしそのすぐ後に
「・・・あ、やっぱりお味噌汁もいらない。」
と言ったのです。
なので私は夫と自分の二人分の夕飯だけを作ったのです。
―すると調理を終えたところで姑が
「やっぱりお味噌汁だけもらおうかな」
と言うのです。
「え?・・・いや、二人分しか作ってないんですけど。」
と言うと
「あ、そうなの。じゃあいいわ。明日はお願いね。」
と納得してもらったのです。
―その数分後、私と夫がごはんを食べようとした時のことです。
「わたしのごはん!?」
と突然姑が大声をあげたのです。
―あぁ、またおかしくなってる・・・
そう思った私はすかさず
「さっきごはんいらないって言いましたよね!?私何回も確認しましたよね?」
と会話のやりとりや経緯を全部伝えると
「知らない。わたしはそんな事言ってない。」
とふてくされ始めたのです。
そしてひとりでインスタントのお味噌汁を準備して逆ギレしながら食べ始めたのです。
これにはたまらず怒り心頭となった私でしたが、その時はそれ以上何も言いませんでした。
責めても説得しても聞く耳を持たないのはわかりきっているからです。
しかしその後わだかまりによって精神的にかなり重苦しくなり、それは翌朝になっても晴れず、むしろ理不尽な思いをさせられたイライラが募る一方だったのです。
そこでこのわだかまりを解決させるために姑が昨日の事をどこまで覚えているのか確認してみることにしたのです。
そしてすぐさま姑のところに行き「昨日のこと、覚えていますか?」と聞いたのです。
すると姑は怒るでもなくひょうひょうとした様子で
「あ、そうそう!昨日ね―おなかの調子が悪くてねぇ。」
と言うとその後、私との会話ややりとりを全部覚えていて完璧に言えたのです。
どうやら「忘れては」いないのです。
認知症の症状として記憶が抜け落ちているとか妄想による現実とは異なる流れを言うものと予測していたのですが、この意外な展開に面食らって私はしばし考え込みました。
すると黙り込んでいる私を差し置いて姑のひとりごとスイッチが入ったのです。
「私も食べれないと思ったんだけど、急におなか空いちゃって・・・あ、そういえば最近3人で一緒に外食しなくなったね。どこかおすすめのお店ないの?いろんなお店知ってそうよね・・・ねぇ、黙ってないでなんか喋ってよ。あ、この前ね―・・・・・」
と上機嫌になりながら1人で会話を脱線させ延々とひとりごとを続けているのです。
それを無視して私は試しにこんな質問をしてみたのです。
「ごはんいるだのいらないだのと言って私を振り回したことについてはどう思っているんですか?言う通りにしたのに責められてすごく嫌な思いをしたんですけど。」
すると姑は驚くべき発言をしたのです。
「え?なに?そんな事くらいで怒ってるの?」
・・・そんな事!?
その瞬間、私の中でぶちんと何かが切れたのです。
「わかりました。もうあなたとはわかり合えないようなので二度と会話しません。挨拶も一切しませんのでそのつもりで。以上です。」
そう言い放って部屋を出たのです。
すると姑は大慌てで追いかけてきて
「え!なんで!?なんでそんな事言うの!?」
とパニック状態で懇願して追いかけて来たのですが一切相手にせず自分の部屋に戻ったのです。
すると姑は私の部屋の前をうろうろしながら
「ごめん、ごめんなさいね―」
としばらく呟いていたのですが、すぐに所定のリビングへと戻って行き、その後は一切その件について言及はしてきませんでした。
―どうやら私とのこのやりとりはすぐにすっかり忘れてたようでした。
実は姑は「人が気分を害してる」という事を察することが出来なくなっているようなのです。
だから相手がどんなに怒っていてもまるで状況を理解出来ずヘラヘラとしている状態なのです。
なのでこんな姑とはもう話したくない、声も聞きたくないと思った私はある方法を思いついたのです。
それは
「イヤホンをしてホワイトノイズを聴く」
というものでした。
嫌味も意味不明な発言も聞いてしまうから惑わされる。だったら聞かなければ良い、そう気付いたのです。
ちなみに「ホワイトノイズ」とは人の声が完全に消えてしまう音源です。
滝の音、水中の音、上空を飛ぶ飛行機の音など色々あります。
これは街中や電車の中で会話がうるさい、気になるという人向けの音です。
私はもともとミソフォニアもあるので普段からこの音源を使用していたのです。
なのでこの日からこれを使用することにしました。
料理をする時など姑の近くにいく時にはワイヤレスイヤホンを装着してMP3プレーヤーを持ち歩き、それでホワイトノイズを流して姑の声が一切聞こえないようにしたのです。
最初は何を聞いても答えてくれない私を怪訝に思って姑は詰め寄って来たのですが、もちろんこの時も何を言っているのかはわかりません。
しばらくすると諦めて離れていくようになりました。
何かを抗議して詰め寄ってくるその雰囲気は不快ですが、それでもその時はその場を離れたら解決するので問題はありません。
何より言われている内容がわからないだけでもだいぶ気が楽になったのです。
そしてそれを毎日毎回続けていたところ、驚くべき変化があったのです。
なんと姑が詰め寄ってくる回数が激減したのです。
もしくは詰め寄って来ても相手にされないとわかるとすぐに身を引くようになりました。
以前は「物がなくなった!」と言って私の部屋に勝手に入ってきたり(今は部屋に鍵をつけてあります)、夫がいても私にばかり理不尽で意味不明な発言をして詰め寄ったりと私だけが集中攻撃を受けていたのですが・・・
なんと今は「物がなくなる件」が発生すると夫の方に行くようになったのです。
夫に相手にしてもらえないと一瞬私の部屋の前では来るもののすぐに離れていきます。
ちなみにこれだと夫の方の精神状態がやられるのでは・・・と心配して夫に聞いてみたのですが
「俺は平気だから。」
との事でした。
しかしやはり少なからずダメージは受けているようです。
私を心配して自分が請け負うつもりなのでしょうが、それでは夫がやられてしまいます。
なのでこういう展開になった時は、夫のメンタルを落ち着かせるためにも色々と笑わせたり、夫の好きなお店に外食に行ったり、好きなだけ昼寝させてあげるなど夫ファーストをしています。
そして私はこのメカニズムがどうしても気になり、独自に分析してみたのです。
おそらく認知症者は何か不都合が起こると「言いやすい相手」を無意識で選ぶのだと思うのです。
普通なら最初から息子である夫に行くようなものですが、よく聞く姑が認知症のパターンは「嫁の方に行く」というものです。
これは嫁いだ身としてはやはり常日頃から姑には気を遣って優しく接することになりますよね。
私もそうでした。姑のご機嫌伺いをして味方になってあげたり、話しを聞いて答えてあげたりなど・・・。
実はその行為が「なんでもしてくれる人」という認識になるのです。
そうなるとタガが外れて「何を言ってもいい人」という認識になってしまい、結局物がなくなれば「あの嫁が盗ったんだ」と自然とそういう罪の押しつけをする思考になってしまうのです。
更には理不尽な発言をされるターゲットになるのも「この嫁はなんでも言うことを聞いて相手にしてくれるから」という無意識の思考により、やたらとしつこく詰め寄ってくるのです。
そこで重要なのが
「会話を一切しない」
という対策です。
我が家の場合は夫の協力もあるのでこれに理解をしてくれて、必要な事は夫を介してやりとりしてもらうことになっています。
それも姑と私、お互いがいない空間で。
そうすることで姑とのやりとりはあの日以来「ゼロ」になりました。
・・・これだけでもどんなに気が楽になったことか。
そしていくら話し掛けても相手にされないという姑の認識も症状が酷い時にはそれすら忘れて詰め寄ってくることもありますが、それはもう相手にしないでその場から離れるようにしています。
そしてしつこく付きまとうことは本当になくなりました。
やはり普段からコミュニケーションを取っている相手や気遣いなどから優しく接する人がターゲットになるのだと思います。
今まではこちら側が暖簾に腕押し状態でしたが、それを形勢逆転させて姑に暖簾に腕押しをさせている状態になっているのです。
以前掲載した対策Part1の最後にも書きましたが、やはりこれもまた「主導権を握る」という事なのです。
それではポイントでおさらいしていきましょう。
認知症者の声が聞こえない、もしくは聞き取りづらい状態にする。
会話をしない(可能ならコミュニケーションをゼロにする)
もし認知症者と関わらないといけないとしても過剰に気遣いしたり優しくせず、事務的に振る舞い無表情を装う。
認知症者に怯えない。言いなりにならない。
ちなみにホワイトノイズはYouTubeなどでいろんな音源が配信されているのでそれを聴くといいでしょう。
私のオススメでお気に入りはこれです。
ぜひ試してみてください。
それではこの記事と対策が悩み苦しむあなたの救いとなるよう祈っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。